衝撃…「米を食べない」「減塩ダイエット」で寿命が縮む 2

減塩のしすぎで高血圧

もうひとつ、米と並んでダイエットに大敵とみなされ、忌み嫌われているものがある。「塩」だ。

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一般的に塩を摂りすぎると、体内の塩分濃度を保つために身体が水分を蓄えてしまい、体重が増える。これが、いわゆる「むくみ」のメカニズムだ。「体重を落としたければ、糖と同時に塩も控えるべき」。これはいまやダイエットの鉄則のようになっている。

「世界保健機関(WHO)のガイドラインでは、1日の食塩摂取量は5.0g未満に抑えるよう推奨されています。ですが、そもそもこの数値には科学的な根拠はありません。『なんとなく』の、曖昧なものなのです。

これは、医療の現場を振り返ってみるとわかります。たとえば、入院患者に対して私たち医師はリンゲル液という点滴を使っています。リンゲル液には、1パック500mlにつき3gもの塩化ナトリウムが含まれている。

通常、患者さんにはリンゲル液を1日3~4本打ちます。それだけで、塩分摂取量は10g前後。それにもかかわらず、なにも問題とされていないのです。口から摂取する塩分は減らせ減らせというのに、点滴からの塩分はがんがん体内に注入している。結局、目標の塩分摂取量など、あってないようなものなのです」

たしかに塩分の摂りすぎは高血圧や体重の上昇を招いてしまう。しかしその一方で、塩分を減らしすぎるのもまた、寿命を縮めてしまうのだ。

「慢性的な減塩でナトリウム摂取不足が続くと血液量が減少し、結果的に腎臓から血圧を上げるホルモンが分泌されてしまいます。

腎臓は常に体内の血中ナトリウム濃度をモニターしていて、少しでも濃度が下がり続けると『血が足りていないのではないか』と受け取り、無理やり血圧を上げてしまう。つまり、塩の摂りすぎと同じく、減塩もまた高血圧を誘発するのです。

さらに塩を摂らないことでミネラル不足に陥り、代謝が滞る。その結果、身体に栄養が行きわたらず、衰弱していきます。

ならば、どのくらいの塩分が適切なのか。それは体格や運動量などに左右されますが、ひとつの基準として『食事をおいしく食べられる濃さ』が挙げられます。

辛すぎず、薄すぎず。これを心がけると、自然な塩分摂取量に落ち着くものです。無理に塩分を減らすことは、害でしかありません」

米と塩。人間は長い進化の過程で、このふたつと上手く関係を築いてきた。やせるために、そんな大事な「相棒」を否定することは、自らの命を脅かすことに繋がる。