2022年 節分

豆をまいて福を寄せ、鬼を退治する「節分」。親しみがあるけれど、そもそもの意味や正式なやり方についてはちょっと自信がない。そんな方は、意外に多いはず。 
どのように節分を迎え、どう過ごせばいいのかを知って、ぜひ2022年の節分を有意義なものにしよう。

節分って、何?

 
2022年の節分は、2月3日(木)。太陽暦では立春に最も近い新月を元日とし、新年の始まりであることから、一般的に立春に節分が行われるようになった。

 
では、節分とは具体的に何をする日なのだろうか。一般的に邪気を払い、無病息災を願う行事、といわれている。いにしえより「季節の変わり目は邪気が入りやすい」と考えられ、また「この時期(2月上旬)はまだ寒く体調を崩しやすい」ことから新年を迎えるにあたって、邪気を祓い清め、一年間の無病息災祈る行事として追儺(ついな)という行事が行われてきた。

 
元々の発祥は中国だが、大陸文化が広く取り入れられた平安時代、大晦日に宮中行事として追儺が行われるようになったと言われている。これは疫鬼などを追い払うもので、大晦日に陰陽師がきて厄や災難を祓い清める儀式。古くは「続日本書紀」のなかに、疫鬼払いとしての記述が見られる。宮中行事としての追儺は徐々に衰退し、江戸時代には行われなくなったという。しかし、いつの頃からか、追儺は豆をまいて鬼を払い無病息災を願う「節分」という行事として庶民の間に広まり、定着したのだ。

 

豆まきをする理由と、正しいまき方

炒った大豆をまくのはなぜ?

邪気を払い、無病息災を願うのが「節分」という行事だが、ではなぜ豆をまくのだろうか。

 
古来より日本人は、言霊の存在を信じ、言葉と霊力に意味を与え、それを生活のなかに取り入れてきた。豆をまくようになったのは、室町時代とされているが、豆=魔目(鬼の目)を滅ぼすということに由来されているという説がある。また、豆は五穀(米、麦、ヒエ、アワ、豆)の象徴であり、農耕民族である日本人は、これらに神が宿ると信じてきた。

 
節分に使う豆は、前日に炒って枡に入れ神棚にあげておくのが正式。できればお祓いを行うと、なおよいとされている。豆が神聖なものだと思えば、その行いも腑に落ちる。また、基本的には大豆を使用するが、炒り豆にするのは、後から芽が出てこないようにするため。もしも、芽が出てしまったら「凶事が起こる」などと、昔の人は大層それを恐れたという。そうならないように「豆を真っ黒になるまで炒り続けた」というエピソードもあるとか。また、(鬼の目を)射る=炒るという語呂合わせからきているという説も。「まめ」は健康という意味もあるそうだ。

 
豆まきに炒った大豆を使わない地域もある。新潟県、福島県、北海道などの北日本、産地である鹿児島、宮崎では落花生が多いとか。雪深い地域では、外にまかれた豆が雪に埋もれ拾うのが大変で、落花生は見つけやすいというのが理由。また、戦後新潟県に大量の落花生が輸入されたことから、馴染みも深いようだ。ちなみに同じ北でも山形県では、地元の銘菓「でん六豆」が圧倒的とか。

正しい豆のまき方

 
では、節分の時どうやって豆をまけばいいのだろうか?実は、めっぽうやたらに……ということではなく、きちんとしたルールがあるのだ。本来、豆まきは家長の役目といわれるが、最近では年男、年女や、厄年の人が行う場合が多い。ここでは、正しい豆まきのやり方について、順番に手順をみていこう。

 
1)前日までに、炒った福豆を枡に入れ神棚に供えておく。神棚がない場合は、白い紙の上に福豆をのせ、目線の高いところに供えておけば問題ない。

 
2)節分当日、鬼は深夜(丑寅の刻)にやってくるといわれているので、豆まきは夜に行うのがベスト。午後8時~10時くらいの間が適している。福豆を入れた枡は左手に、胸のあたりで持って、下手投げのように右手でまくのが正式だとか。
まず、玄関、窓、戸口などを開け放ち、奥の部屋から順番に、外に鬼を追い出すように「鬼は外!」と声をかけながら豆をまく。まき終わったら、鬼を締め出し、福を逃さないようにするために、すぐに戸締りすることをお忘れなく。

 
3)今度は「福は内!」と部屋の中に向かって、豆をまく。玄関は最後に。口上、順番、方角などは地方によって異なるため、後述をご参考に。

 
4)豆まきが終わったら、1年の厄除けを願い、自分の年齢よりも1個多く豆を食べる。この豆は「年取り豆」といい、家族全員で食べたいもの。豆が苦手な人や、数が多くなってしまう人は、代わりに「福茶」を飲むといい。これは福豆を吉数の3粒入れ、さらに縁起を担ぎの昆布や塩昆布、梅干しなどを入れたお茶のこと。ポットの熱湯を注ぐだけで、簡単に作れるのでオススメだ。

 
これで豆まきは終了。新しい1年がよりよい年になること間違いなしだろう。

節分に食べるものとは?

「節分には豆を食べる」のが一般的なイメージですが、こちらも地域によって違いがある。どんなものを食べるだろうか。

恵方巻き

 
今や節分の定番ともいえる恵方巻きだが、その発祥は大阪。節分に恵方を向き、願い事をしながら太巻きを黙々と最後まで食べるというもの。太巻きの具は、七福神にあやかり、また福を巻き込むという意味も込め、七つの具を入れるのがよいとされている。太巻きは、鬼が忘れていった金棒という見立てもあるようで、食べる=鬼退治という意味合いもあるようだ。ちなみに2022年の恵方は「北北西」。

こんにゃく

食物繊維豊富なこんにゃくは体内を綺麗にする食べ物として、昔から大晦日や節分などの節目の日に食べられてきた。四国では節分に食べるこんにゃくを「砂下ろし」といい、これは体内の毒素を排出するという意味があるのだとか。

けんちん汁

 
ダイコンやニンジン、ゴボウなどたくさんの具が入ったけんちん汁。もともとは精進料理で、邪気を払う節分行事には相性がよかったことから、食べられるようになったそう。主に関東の一部にその習慣があるといわれている。

節分そば

あまり馴染みはないが、江戸時代には「年越しそば」と呼ばれ、そばは節分に食べるものとして全国的に普及していたという。諸説あるが、麺が切れやすく厄落としができるという縁起担ぎで食べられるようだ。名産地である島根県出雲地方、長野県では、現在も節分にそばを食べる。

くじら

山口県は捕鯨基地が多く、郷土料理としてくじらが定着していることもあり「大きいものを食べると縁起がよい」という意味で、節分に食す。くじらにあやかり「志を大きく」「大きく成長するように」との願いも込められているそう。特にくじら肉のなかでも「尾羽毛(おばけ)」という最上級部位を刺身で食べる。

麦飯

麦の耕作地では、収穫の感謝の意を込め麦飯を神仏にお供えする家庭が多かったとか。これは、正月や節分に行われ、特に節分には鰯と一緒に麦飯を食したという。その名残で、今も麦飯を食べる風習があるそうだ。

さて、いかがだったでしょうか。一言に「節分」といっても、地域や家庭ごとに特色がある。とはいえ、形式にとらわれず楽しんで行う「節分」がニューノーマルかもしれない。おうち時間が増えた今だからこそ、家族そろって豆まきをするのがオススメです。