啓蟄

二十四節気の一つ。太陰太陽暦の2月 (2月の前半) のことで,太陽の黄経が 345°に達した日 (太陽暦の3月5日または6日) に始り,春分 (3月 20日または 21日) の前日までの約 15日間であるが,現行暦ではこの期間の第1日目をいう。語源は,蟄虫啓戸 (地中にひそんでいた虫が戸を啓いて地上にはい出るという意味) に由来し,昔中国ではこの期間をさらに5日を一候とする三候に区分した。

春の暖かさを感じて、冬ごもりしていた虫が外に這い出てくるころのことである。「啓」には「ひらく、開放する、(夜が)明ける」などの意味、「蟄」には「冬ごもりのために虫が土の下に隠れる、とじこもる」という意味がある。もともとは、陰暦(太陰太陽暦)で用いられていた二十四節気(にじゅうしせっき)の一つ。陰暦では、毎年の日数が違い、暦と季節がずれていたため、これを調整するために工夫されたものが二十四節気である。太陽が真東から昇り真西に沈み、昼夜の長さがほぼ同じになる「春分」を起点(黄経0度)として、太陽が1年間に動く黄道上の動きを15度ごとに24等分し、季節を示す基準とした。二十四節気では、全体を春夏秋冬の四つの季節に区分し、さらにそれを三つの月に分けている。一つの月には、二つの等分を割り当て、前半の等分を「節気」、後半の等分を「中気」とし、それぞれの等分点を太陽が通過するときの時候を表わす名称を「正月節立春」「正月中雨水(うすい)」「二月節啓蟄」「二月中春分」「三月節清明(せいめい)」「三月中穀雨(こくう)」などとした。このうち、黄経345度、陰暦の2月前半を表す「二月節啓蟄」が、表題の「啓蟄」の由来である。現在の太陽暦の3月6日ごろに当たる。