舌で分かる健康状態
みなさん体調を崩して病院で診察を受けた時に、大きく口を開けて舌を出して下さいと言われた経験はありませんか?
その際、舌の奥の喉の腫れを見られている場合もありますが、舌自体の状態をじっくり観察されているケースも意外と多いんです。
舌を見ることで何が分かってくるのでしょうか?
舌は、たくさんの毛細血管が集まっていて、薄い粘膜を通して血液の色が見て取れるので、 通常は外から見ることができない内蔵の血液の状態や全身の血流の変化を、間接的に見ることができる場所なのです。 また、舌には体液の消耗ですぐに潤いや乾きの変化が起こるため、体内の水分量の状態も分かるし、その舌の筋肉運動による動きには自律神経が深く関与しているので、ストレスや大きな病気のサインも把握できるのです。
さらに、東洋医学の観点では、舌は経絡という体内の見えないエネルギーの回路のようなもので各臓器につながっているとされていて、内臓に弱りや異常が生じると、それに反応して舌自体の色んな部位に変化が現れやすいと考えられています。
そう、「舌」は内臓の状態を写し出す鏡であり、日々の健康状態が分かるスポットなんです。
舌と各臓器の関係
この舌を見る診断法は「舌診」といって、主に舌自体の色と形、舌の上にある苔の色と形、そして舌の裏の舌下静脈の怒張などを中心に観察を行っていきます。
舌診もまた東洋医学や漢方と同様、いくつかの流派やその捉え方も微妙に違ったりなど、多くの学びと臨床体験が必要な、本当に奥が深い世界なのですが、ここで少しだけ誰もが舌を見て分かる傾向として、主なものを簡単に紹介してみたいと思います。
まず舌と各臓器の関係についてなのですが、舌の先は心臓や肺、舌の中心は胃や消化器系、舌の根元は腎臓系、舌の側面は肝臓や胆嚢などの状態を表しています。
例えばストレスが強くかかると肝臓に負担がきて、舌の側面が赤くなり筋や斑点がつくこともありますし、不眠や過労があると、心臓に負担がきて舌先が赤くなったりします。
次に舌自体の色と形についてです。色は、赤みが強いほど体内に過剰な熱や水分不足が、白っぽいほど冷えや栄養やエネルギーの不足が、紫っぽいと冷えや血流の悪さが見られます。 形は、痩せて薄いと栄養物質や水分の不足、やや大きく腫れぼったくて歯形があるとむくみや冷えがあり水分代謝の低下、亀裂があると栄養全般と水分の不足や熱のこもりによる体の乾燥などが推測されます。
そして最後に舌の上にある苔の色と形についてです。白くてやや厚く湿った苔だと体内が冷えて胃腸が弱り代謝機能が落ちていること、黄色い苔だと過食で胃炎が起きたり体に熱や湿気が停滞していること、所々が剥がれた苔やツルツルしてほぼ無苔だと栄養やエネルギーの不足と胃の機能や免疫機能の低下などが分かります。
因みに苔には、増えすぎると細菌や食べかすも溜まりますが、皮膚の垢と同じようにバリアの機能も持ち合わせているので、舌磨きのやり過ぎには十分注意が必要です。
こうした舌の変化に気をつけて日頃から生活をしていれば、ちょっとした体調の変化の原因に気づかされたり、病気の進行なども未然に防ぐことができるかもしれません。
体の症状が気になり出して、レントゲンやCT、MRIなどの機器による健診を受ける前に、もしくは、これらの機器での検査にいまいち気が進まない方に、まずはこの「舌診」で今の健康状態を把握してみてはいかがでしょうか。