霜月(しもつき)とは、陰暦(旧暦)の11月を意味し、陽暦(新暦)11月の和風月名としても知られています。まだ霜が降りるには早い季節だと思われる11月が、なぜ霜降月とも呼ばれたのか?その由来や語源、別名・異称を解説します。
霜月とは
明治初頭より陽暦(新暦)を採用した日本では、12か月を1月〜12月の数字で表しています。しかし、それ以前は、季節感がわかるような和風月名で各月を表現しており、その11番目の月を「霜月」と呼んでいたのです。現在でも、陽暦(新暦)11月に当てはめ「霜月=11月の和風月名」として用いています。
陰暦の11月は、陽暦の11月と時期が違います。陽暦は陰暦から1か月ほど遅れています。陰暦の11月は、陽暦の11月下旬から翌年1月上旬頃に当たるのです。
霜月の読み方、意味・由来・語源
霜月は「しもつき」と読み、その意味・由来・語源にはいくつかの説があります。
もっとも有力だとされている説は「霜降り月、霜降月(しもふりつき)が省略されて「霜月(しもつき)」に転じたというものです。陽暦(新暦)では12月頃となる霜月ですから、陰暦(旧暦)が用いられていた当時ではすでに霜が降りていたのでしょう。
ほかにも、満ちた数字である十を上月とし、それに対して下月(しもつき)になったという説、その年の収穫を感謝する意味を持つ「食物月(をしものつき)」が省略されたという説があります。
霜月の別名・異称
霜月には、別名や異称で表されるさまざまな呼び名があります。そのいくつかを紹介しておきましょう。
仲冬(ちゅうとう)
陰暦では、10月から12月が「冬」になります。このため、11月である「霜月」が、冬の真ん中の月になるため「仲冬」とも呼ばれます。
神来月、神帰月(かみきづき)
陰暦10月の神無月には、日本各地の八百万の神々が出雲大社へ出掛けてしまいます。お出かけになっていた神々が霜月になると帰ってくるため「神来月、神帰月」と呼ばれました。
神楽月(かぐらづき)
神様に舞や歌を奉納する「神楽(かぐら)」が、冬至の頃に盛んに行われていたといいます。そのため、冬至を含む霜月を「神楽月」と呼んだようです。
雪待月(ゆきまちつき)
冬支度をし、雪を待つ月ということから「雪待月」と呼ばれていました。
霜月(そうげつ)
「しもつき」ではなく「そうげつ」と読んで、霜と月の光の情緒を表現する呼び方もあるようです。
そのほかの別名・異称
- 建子月(けんしづき)
- 辜月(こげつ)
- 霜見月(しもみづき)
- 天正月(てんしょうげつ)
- 陽復(ようふく)
- 竜潜月(りゅうせんげつ)
霜月のまとめ
歌舞伎の世界では、江戸期の霜月1日に「顔見世」を行うようになったといわれています。顔見世とは、年に1回役者が交代し、新しい顔ぶれで興行を行うことを指し、歌舞伎の正月ともいえる重要な行事です。
まだ旧正月には間がある霜月にも、正月と呼べる行事があるというのは、興味深い話ですね。ビジネスシーンでも、歌舞伎好きの方と出会う機会は意外と多いもの。覚えておいて損はないですよ。